《第6回》二人に一人がガン! いや、これからは長生きすると「多重ガン」?

最近、日本は長寿難病国、いや長寿病弱国とまでいわれ、二人に一人がガンになると恐れられていますが、いまや、もっとひどい状況になりかねないようです。

「気がつけば、あなたもガン」いや「気がつけば、あなたも“多重ガン”」といわれる時代の始まりです。

前立腺ガンの次に胃ガン,さらに肺ガン・・・といった、全く別の部位に新たにガンが出来てしまう「多重ガン」の患者さんが増えてきているようなのです。

「多重がん 撃退中!」(宝島社)という自らの闘病記を発表したので有名なのは女優の大空真弓さんです。僕も昔、女性週刊誌の記者をしていた頃、若き日の元気な大空さんを取材をした思い出がありますから、へえー、3つもガンを抱えたとは大変なことだなあと驚きました。

乳ガンから始まり、)胃ガン、食道ガンを発症。

次から次へと襲い掛かる魔の手に「わたしにはガンが友達のように替わるがわる会いにくる」と語る、その精神力に感動したものでした。

ところで、「多重ガン」というのは、いわゆる再発の「転移ガン」と違います。

  • 多重ガン…
組織の違うガン細胞によって 様々な臓器にガンの原発細胞が多発すること
  • 転移ガン…
組織の同じガン細胞が血液やリンパ液に浸潤し、 別の臓器に運ばれ、分裂・増殖を始めるガン

転移ガンの場合は血液やリンパ液を通じて全身にガンが回り、やがて、心肺や脳といった生命維持臓器がやられて命を落とす危険にさらされるわけですが、多重ガンの場合は、その都度、切り取ってもよいでしょうし、またガン浸潤力を抑止するために、全身の滋養力、免疫力を高めることによって延命が図れるものでしょう。

たしかに、大変なガン受難時代に僕たちは生きているわけですが、ますます、手術、化学劇薬といった他癒力に頼るのみならず、心身養生による自癒力を組み合わせた、統合的延命力を高める「治療設計や人生設計」をすることが必須でしょう。

ガンは「切ったり」「叩いたり」「焼いたり」すれば治療は完璧・・・

などといった治療発想はいささか時代遅れであり乱暴です。

ちなみに、僕にしても、この10年、幸運にも食道ガンは再発もなく無事すごすことが出来ましたが、なんどか再発や原発を疑われる危機にも見舞われまして、その都度、漢方や食事療法で自癒力をたかめてガンをなだめて参りました。

ところが、昨年、発病9年目にして、こんどは胃ガンではないかと診断され、手術を勧められましたが、このときもまた「切らず」に漢方療法と食事療法でクリア。

いわば、僕もとうとう「多重ガン」中高年患者の仲間入りしたようなのですが、幸いにも、こうして快食快眠快便で元気に過ごしているわけです。

この「第2の原発ガン克服」の詳細は、また改めて書きますが、もはや、一つくらいガンに見舞われたのでは、おさまらない・・・

僕たちは、なんともやっかいな「長寿多重ガン時代」に突入したことになります。

これは、ガンが、巷間、思い込まれているような「悪性のデキモノだから切れば治る」といった単純なものではなく、いわば、いのち丸ごとを蝕んでいく「突発性の老化病」ですから、モグラ叩きのようにただ体を切りまくったからといって、ガンが治るのではなく、かえって周辺の臓器がダメージを食らって死を早める・・・そんな事態に陥りかねないわけです。

ことほど左様で、昔の人生50年時代と違って、人生80年、90年の長寿時代となり、とくに中高年の患者が頻繁にガン検診を繰り返していくと、老化現象を併発が発覚し、あちこちに発生する「多重ガン」に対処するケースが増えてくるのです。

また、昔に比べれば、治療方法が進んで、一時的に治癒する率も高くなってきましたから、皮肉なことですが、老化に伴って、2つも3つも原発ガンを抱えながら長生きすることにもなります。

さて、最近では、「多重ガン」の発生も男性では①肺ガン, ②大腸ガン,③胃ガン、女性では①大腸ガン, ②胃ガン, ③乳腺ガン, ④肺ガンの順に多くなっているといわれており、誰しもが『無病息災』など難しく、ガンも『一病息災』どころか『多病息災』 が、中高年の人たちの常識となってきているわけです。

では、元気に長生きするにはどうするか?

どう多重ガンに対応するか? どう元気を持続しつつ延命していくか?

やはり、ますます、病院力=他癒力だけに頼るのではなく、いかに工夫して自らの養生力=自癒力を高めていくか?

この知恵と勇気と希望に基づく治療設計、人生設計を立てることが必須となります。

これだけガンの患者が増えていくと、眦(まなじり)を決してガンと闘うのではなく、「ガン仲良く過ごそう」と悟る人も増えてきたわけですが、僕も、最近は、弘法大師とお遍路さんの修行の言葉をもじって、ガンと「同行二人」と割り切って、「薬や病院に頼るのは少なくしよう」、「ガンと共生しよう」と考えています。

体を冷やさないで温める。
食べるだけでなく快く出す。
ストレスを溜めず希望とリラックスを保つ。

とくに、僕の場合、「食はいのちを作る」「食は体を作る」というわけで、延命力獲得の基本養生を「食事」と「漢方」において心身を温かくして自癒力を高めるようにしています。

全てのガンの原因の約35%は不適切な食生活にあるという、WHO〈世界保健機関〉の報告もあります。

しかし「食事」や「漢方」を始めたからといって急に効き目が現れるものではなく、5年、10年、15年と続けるから効果が見えてくるものでしょう。

一時、小康を得たからといって、とくに退院後の暴飲過食は慎みましょう。

別に僕の励行しているマクロビオティック玄米菜食法の原則を挙げるまでもなく、昭和60年に策定された厚生労働省の「健康づくりのための食生活指針」でも以下のように挙げています。

  • 1.いろいろ食べて成人病予防
  • 2.日常生活は食事と運動のバランスで-運動十分で食事を楽しもう
  • 3.減塩で高血圧と胃がん予防-塩からい食品を避けよう
  • 4.脂肪を減らして心臓病予防-脂肪とコレステロール摂取を控えめに
  • 5.生野菜、緑黄色野菜を毎日の食卓に
  • 6.食物繊維で便秘・大腸がんを予防-野菜、海藻をたっぷりと
  • 7.カルシウムを十分とって丈夫な骨づくり-
  • 8.甘い物は程々に-糖分を控えて肥満を予防
  • 9.禁煙、節酒で健康長寿 -禁煙は百益あっても一害なし

これまた、「そんなこと分かっているよ」という人が多いでしょうが、これを励行できないのが暴飲過食に慣れてしまった長寿現代人の弱みです。

若き日の僕がそうでした。

僕の友人に前立腺ガン、大腸ガン、胃ガンの「多重ガン」と12年闘いながら、週刊誌の編集長やその会社の社長を長年勤め、いまも元気で延命されている人がおられます。

黒川宣之さんといって『多重がんを克服して』(㈱金曜日・刊)

という著書も出しておられますし、先日も友人の遠藤京子さんが経営する「あらいぐまの台所」〈東京・目黒〉

というマクロビオティック料理の店で、作家の山口泉さんを交えて楽しく食事をしてきました。

僕たちの会員誌「いのちの手帖」第4号にも≪多摩のよこ山に魅せられて 楽歩、遊歩にいそしむ日々≫と題して元気な様子を寄稿されています。

誰しもが「多重ガン」の危機・・・といった長寿難病時代に突入したいまこそ、「食はいのちを作る」「継続は力なり」「自癒力はいのちなり」という発想をかみ締めて、元気に長生きしたいものですね。

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