《第45号》完全主義では何もできない!“常識からの脱走力”のすすめ

英国の政治家・ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)の名言に、<Perfection spells paralysis.>という言葉があります。

直訳すると「完全主義は麻痺(まひ)症状を招く」となりますが、

いわば「完全主義思考ではまともな心身の働きはできない」

「完全主義では何もできない」という処世警句でしょう。

ガンとの闘いについても、この格言は当たっているのではないでしょうか?

ガンのような複雑な「突発性の老化病」に対して、ガン病棟の医師たちは、

「手術すればガンは“完治”しますよ」と患者を説得します。

医業・生業を続けるためには、そういわざるを得ないのでしょうが、

いとも簡単に「手術こそ完全治療だ」と言い切ります。

しかし、現実はどうでしょうか? 年々、ガン死亡者は急増し、

再発・転移の不安におびえている患者は後を絶ちません。

このコラムでも何度も書いておりますが、

ガンは、複雑な人生と同じで、ただ患部を切り取れば完治するといった、

単純な治療では治るものではありませんから、

ガン病棟の医師がいうように、「切る」「取る」といった単純な治療で

克服できるものではありません。

いまの未熟な西洋医学では、まだまだガンは手に負えるものではありません。

もっと、複合力といいますか、東西の医学を結集して、

複眼的に治療方法を組み合わせて、やっとガンの浸潤をなだめることができる・・・

これくらいが、いまのガン治療の実相だと、僕は長いガン体験と、

急増していくガン死亡者の実態を見るにつけ、そう思っているわけです。 ともあれ、こと、ガンのような難病と対峙する時にも、

”偽りの完全主義“”古い完全主義“に溺れることくらい危険なことはないと思います。

人間のいのちの仕組みとは医師が患者に“説得”するほど単純ではないからです。

もし、不幸にしてガンや再発・転移を宣告されたり、

“余命半年”ですといわれたりしても、

医師が持っている“完全主義の常識”もしくは“完治思考の旧弊”に対して、

患者はもっと疑問を持つべきではないでしょうか?

では、実際にどう考えたらよいのか?

いまほど“常識からの脱走力”が問われて時期はないと思います。

“常識からの脱走力”とは、患者や家族のみなさんはもちろんのこと、

複雑な仕事や人生の難局を乗り越えるときにもあてはまることだと思います。

ちなみに、70歳を目前にして、僕自身、若き日々を思い返してみると、

「常識破り」で脱出する・・・これで何度も何度も危機を凌いできました。

たとえば、ちょっと風変わりな僕自身の「常識からの脱走」とはこんなものでした。

・30歳代のオイルショック不況のころ、ときどきパリやロンドンに“脱出”して

次なる男性ファッション誌の準備をし、やがて成功させました。

・40歳代はニクソンショックの円高不況のころです。

すでに投資の発想を「中国」に“脱走”させていた敬愛する邱永漢さんを訪ね、

「円高に克つ」「悪い世に中を生きる知恵」といった

常識破りの企画を連発。「週刊ポスト」という雑誌を100万部雑誌に変えました。

・50歳代、バブル崩壊と共に、会社の幹部と意見が合わなくなって役員辞職。

この頃から出版不況を見抜いて出版界を”脱走“。

いち早くインターネットのコーディネートやオンライン投資の世界に転進しました。

・60歳代は、空白の10年、そしてサブプライム大不況の真っ只中です。

悪性の食道ガンで人生真っ暗になりましたが、惨い手術を断って、

大学病院から“脱出”という、常識破りの「脱走力」で、

なんと奇跡的に10年延命してしまたわけです。

ま、あまり自慢にならない“わが常識からの脱走記”ですが、

危機の時こそ「常識破りの“脱走力”」が試されていると思っています。

みなさんも様々な“常識破りの脱走力”で人生を渡ってきたのではないでしょうか?

とくに時代の危機、時代の急変期にこそ、目先の損得に囚われて、

「木を見て森を見ない」傾向が強くなりますから、

日々、それなりの人脈作りと勉強を積み重ねておくことは言うまでもありません。

“常識破りの脱走力”などと言ったり、ススメたりすると、

前例や慣習が好きな中高年ばかりか、日頃から古典を読まない、

また外国に行って勉強したがらないような若い世代からも顰蹙を買います。

とくに、若者にも“保守的な常識”にこだわる人はたくさんおります。しかし、

保守的な「完全主義」の虜(とりこ)になってはニッチもサッチもいかなくなります。

たとえば、ガンの治療法にしても、

いまの常識は「ガンは切れば治る」「化学劇薬で叩けば治る」とする、

西洋医学完全主義、西洋思想万能主義を多くの人が信じています。

別に“西洋絶対””西洋医学万能“と信じたい人は、それでもよろしいわけですが、

実際には、年々、惨いガン治療の苦しみの中で、

悶絶しながら死亡する人が増えているわけですから、

もし、あなたが「生身の患者」となったならば、

いまの“医療の常識からの脱走力”は発揮すべきではないか?

僕はそう考えているわけです。

いまこそ、世間に通用している“西洋医学万能思考“や”西洋思想完全主義“からの

発想転換を迫られている時代はないでしょう。

こと、ガン治療の”常識“からの脱走力について、具体的に言わせて貰えば、

近代欧米社会が否定した、東洋医学の中に、古い常識を覆す、

“常識からの脱走力“を見出すマスターキー(親鍵)があると思っているわけです。

西洋医学に限界があるとすれば、日本人が古来から重用してきた

東洋医学の知恵は 大いに見直すべきではないか?

僕は一人の中高年ガン患者として、

心底、そう考えて、このコラムを書いたり、本を書いたりしているわけです。

ともあれ、常識破りこそ「寝たきり長生き」ではなく、「元気で長生き」するヒケツです。

若いうちには分かり難いことでしょうが、

40代、50代、60代になるとジーンと分かってくるはずです。

長寿難病とは、またたく間に、

いまの20代、30代の「明日はわが身」の問題となります。

この大不況期、この長寿難病期こそ、常識からの「脱走力」を蓄えましょう。

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いのちは患者の治療選択次第で上手に掴み取ることができる――希望こそ良薬、あきらめは毒薬だ――「100人に80人は助からない」という食道ガンの手術を拒否して10年延命!「寝たきり長生き」ではなく「元気で長生き」に挑戦した元「週刊ポスト」編集長による<目からウロコ>の闘病体験記。その延命のヒケツは「薬食同源の複合力」=「漢方力20の知恵」にあった。いま見直すべき東洋医学や統合医療の複合力を「20の知恵」で図解で解説。二人に一人がガンになる――といわれる長寿難病時代、一家に一冊必携の<逆転発想>の患者学読本だ。

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