《第33号》●希望の法則33  「食といのち」の不思議な関係~ “食う欲”ほど恐いものはない

2010関根進いのちの手帖

虫歯のできる子、アレルギーの子、骨の弱い子、 そして、親を脅迫する子、自殺する子、キレる子は、胎内・出産・育児の 「6年10カ月」の母親の「食環境」で造られている―― という、前・正食協会会長・岡田周三さんの指摘の続きです。

どうでしょうか?  過食飽食に慣らされた若いお母さんたちばかりか、 「爺~じ、婆~ば」と呼ばれている 僕たち中高年夫婦の世代も、改めて、この岡田さんのメッセージを 熟読玩味すべきだと思いませんか?

さて、この正食普及の大先達である 岡田周三さんには何冊かの著書があります。 その食養研修会では厳しい警告を鳴らすばかりではなく、 マクロビオティック食養生法の始祖である 桜澤如一さんに負けず劣らず洒脱でユーモアにも満ちた人でしたから、 中でも、座談会形式の「食養問答録」(正食出版1987年) という名著がとても面白い内容です。

マクロビオティックや正食の本というと、 偉い食養指導者の先生が、東洋一元論と易と陰陽相克相補論に基づいた 難しい理論を述べたてるものが多いわけですが、

この「食養問答録」は、岡田さんが司会者となって、 自宅に集まってきた研修生たちと、ざっくばらんに「食といのち」について トコトン語り合う本音の本なのです。

この著書は「健康と平和」誌(「むすび」誌の前身) の連載コラムを単行本化したものです。 よい機会ですので、傑物・岡田周三さんと当時の生徒さんたちが交わす 「食養問答録」のサワリをアトランダムにピックアップしてみましょう。

●食養で治らない人――

岡田=ご馳走やおいしいものにとりつかれたような人がありますね。(略)  僕はある京都の禅寺の前管長という方が中風で 半身不随で何年か寝ていたのを指導したことがあるが、 歩けるようになったら、おばさんの留守中にゴソゴソ台所に行って、 戸棚をあけてマンジュウを食べて またひっくりかえってしまったことがあった(略) 出席者=「食う欲」ほどこわいものはない(略) 出席者=中毒は酒やタバコだけかと思っていましたが、 甘いものも中毒しますし、肉食も中毒なのですね。 岡田=享楽中心の考え方の中毒だよ(略)

●乳の出ない母親――

出席者=私の所は母乳ばかりで育てた関係か、 風邪などひいたことがありませんし、 お腹をこわしたこともありません。 そしてちっとも泣かないので実に楽です。 岡田=人見知りということもありませんね。 誰にでも手を差し伸べて抱かれるのですよ。 母乳に勝るものはありませんから、妊娠中から玄米正食をすることです。

●医学は科学である前に哲学だ――

出席者=私は医師として三十年余りやってきたんですが、 学校で習っただけの医学では解けないことが多くて(略) あいそをつかしているんです。(略) 癌、中風、リューマチ、肝臓病、心臓病、神経の病、皮膚病など、 相当研究されているのだが今ひとつよくわからない。 岡田=現在の科学では「生命」を考えないため、 科学の一応用である医学も「生命」を探求せずに、 「病気」だけを目標にせざるを得ない状態なのです(略) この世のなりたち、人間の正しいあり方、 そういったものを考えないで病気や 不幸、健康や幸福を見極めることはできない。 哲学的考察というものがなくては ほんとうの医学は生まれてこない(略) 生命の不思議さをまともにみようとしないのが今の科学や医学なんです。

どうでしょうか? あたりまえの「いのちの話」が自然に交わされる――、 じつに楽しげな「問答録」だと思いませんか?  医学や健康の問題に限りません。 いまマスメディアでは論争に勝つための 西洋モノマネ式・ディベートや建前論争ばかりが 流行って腹の底から本音をさらけ出す対話の自然さを失っている時代です。

ちなみに、「話とは耳から摂る“食べ物”だよ」 というのが岡田周三さんの口癖だったそうですが、 人徳家の岡田さんだからこそ僕たちが忘れかけている 自然ないのちの話、素直な会話を思い起こさせてくれる 「名著」となったのではないか? 僕はそう思っています。 「“食う欲”ほど恐いものはない」――、 読んでみると「心の滋養」となるばかりか、 人生の幸福設計の「薬」となることは間違いありません。

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