がんの治療と聞くと、西洋医学で外科的に切除し、
その後漢方薬でゆっくり整えていくのが
がん治療の第一選択だという人が多いようです。
中医学(漢方)におけるがん治療の理論と方法は、
「黄帝の内経」と「傷寒論」の古典医学論書に基づいた
正統的な中医学の考え方です。
中医学(漢方)では、
人が病気(西洋医学で名付けられたあらゆる病気を含む)になるのは、
病原因子が体内に侵入するためであり、
体内の陰と陽、気、血液、経絡などのバランスが崩れ、
例えば、部分的に陽に偏ったり、陰に偏ったりする場合があり、
それは体質の偏りとも呼ばれ、
治療法はその偏りをニュートラルに戻すことになります。
また、身体の陰と陽の意味とは、
陽は、からだを温め、活動の元となり、
興奮させるなどの作用を持つ物質または機能を指し、
陰は、冷やし、滋養し潤し、
抑制するなどの作用を持つ物質または機能を指します。
では、
病気の治療における中医学(漢方)と西洋医学の違いについて、
からだを家に例えて、
家の隅にゴミの山(病気の源)があり、
時間が経つにつれて腐ってハエや蚊が集まり、
細菌がウジ虫を発生してしまいます。
その時、西洋医学の治療法は、
蚊を殺し、消毒する効果を得るために、
さまざまな殺虫剤と消毒剤を継続的に噴霧することです。
一方、中医学(漢方)の治療法は、
ゴミを取り除いてゴミ箱に捨てることで、
細菌や蚊が繁殖しなくなるように環境を変えることです。
中医学(漢方)はウイルスを殺すことを目的とするのではなく、
体内の病気の病原体(ウイルス)の生息環境を変え、
自らの病気に対する抵抗力を発揮し、
からだの回復力を高めます。
また、他者と協力して戦うことで、
からだ自身の免疫力を刺激して積極的に作動させ、
病原性因子(ウイルス)を身体から強制的に排除することができます。
つまり、中医学(漢方)は、
からだの正しさを正し、体からウイルスを排除する方法に焦点を当てて、
患者のさまざまな不調に基づいて、からだの陰と陽の偏りを導き出し、
治療にどの処方を使用するかを定めて、漢方薬を用いる治療で、
患者自身の抗病力、回復力を高め、病気を治す治療方です。
中国の戦国時代の医書である『黄帝内経』には、
「陽化気、陰成形」と記載されています。
からだの気(生命エネルギー、元気の源である)」と
血(からだを潤わし、体内に栄養を行き渡らせる体液)、
血液以外の体液の水の流れがスムーズ、
からだを温める陽気が十分な時、
いずれも過不足なくスムーズに巡っていることで、
各臓器や器官が正常に機能する
いずれも過不足なく存在し、 さらにスムーズに巡っていることで
各臓器や器官が正常に機能し
体内の循環が滞りなく繰り返すことができるので、
残渣は体内に滞留しません。
現代的な説明にすると、
からだのさまざまな臓器は、その機能を維持するために
常に栄養素を消費しています。
例として説明すると、
ボイラーで石炭や木炭を燃やすように、
残留物は常に生成されます。
その残留物は、血液や体液を通じて
からだに送らなければなりません。
また、排出物(発汗または排尿)は、
陽気が十分である場合、
身体は常にこのプロセスを繰り返すことができるので、
残留物(老廃物)は体内に残りません。
しかし、からだの陽気が不足または衰退になると、
体液を蒸発してしまい、全身の気と血の循環が滞ることになり、
体液、水分、血液によって運ばれた老廃物が冷えて固まります。
そしてそれらの一部はゆっくりと形成されます。
体のどこかに陰と悪が蓄積または蓄積することは、
いわゆる癌や腫瘍の形成の原因です。
ですので、
がんや腫瘍の患者のほとんどは陽虚陰盛の体質であり、
いわゆる陰寒の体質です。
そこで
もともと寒涼の性質を持つ西洋の薬を服用することによって、
病気の改善は一時的によく見えますが、
実際には病気は深刻に進行しています。
手術や化学療法はからだの生命力を著しく損ない、
治療を重ねるほどに深刻な影響を及ぼします。
そうなればなるほど、病状が悪化するいっぽうになります。
経方(漢方薬)によるがんや腫瘍の治療のメリットは、
漢方薬とは、
『傷寒論』『金匮要略』を主とする200以上の古典的な方剤と、
それらの主な薬味を指します。
では漢方薬によるがん治療は
本当に効果的なのでしょうか?
経方(漢方薬)」とは古典的な方剤であり、
薬草は武器と兵士になり、
それらが組み合わさった方剤は
軍隊と戦術戦略です。適切な指導と組み合わせ(正確な診断)があれば、
健康になる道を切り開き、元気を取り戻すことができます。
漢方によるがんや腫瘍の治療のポイント:
1. アルカリ性は固いものを溶かす力があり、
毒を毒で攻撃し、
扶正袪邪(正気を助けて邪気を追い出す)ことができます。
つまり、がんや腫瘍の治療にはアルカリ性質の薬材が不可欠であり、
海藻、カキ、ホタテのようなアルカリ性質をもつ薬材があります。
アルカリ性質はがんや腫瘍に攻撃を仕掛け、これらの腫瘍の塊を溶かす助けになります。
2. 毒を毒で攻撃するというアプローチは、
がん細胞や腫瘍細胞は人体の細胞よりも強力であり、
滋養を与える温かい薬物やビタミン、栄養素を使用すると、
まずこれらのがん細胞や腫瘍細胞に吸収され、
病変がますます拡大し、からだは逆に虚弱になります。
日本の古典派の医師吉益東洞先生の話によると、
すべての病気は、体内に潜む毒が起こしており、
その毒の位置によって、病態が異なるという「万病一毒説」だと考え、
治療にはこの毒を排除するべく薬効を強い生薬を多く用いた
といわれています。
つまり、「毒をもって毒を制す」という治療法です。
漢方薬の利点は、毒をもって毒を制す、
薬物の毒で病気の毒を攻撃するため、疾患が除去されると考えており、
漢方薬の効力を十分に示しています。
さらに、中医学に「攻下法」が適用される場合、
元気を保つことが非常に重要です。
「元気が一破れれば、九死一生」と言われています。
元気とは食欲や精神などを指します。
例えば、漢方薬の「十棗湯」は、
腹部の水蓄積を攻撃しながら、大棗で胃気を保護します。
臨床では患者が嘔吐や吐き気がある場合、
半夏や生姜を追加することがあります。
なぜ西洋医学によるがん治療が悪化するのか?
それは手術や放射線治療の後、患者の食欲が減少し、
からだがますます虚弱になるからです。
したがって、
扶正袪邪(邪気を追い出すと同時に正気を助ける=
免疫細胞を活性させ、病気に抵抗できる抗病力を強化する)
必要があります。
また、陽虚が非常にひどい患者、
例えば手足が冷たく、顔色が青白い場合、
からだを温める「陽気」を強化する必要があります。
特にがん細胞は寒冷(冷え)な環境を好むため、
漢方薬の生硫黄や生附子などを用いて、
気血の循環を活性化させ、がん細胞の増殖適さない体内環境で
がん細胞を排除することが期待できます。
※ご病状や体質の個人差によって、漢方の利用が異なるため、
ご利用の際には、医師や薬剤師、専門家にご相談の上
ご使用くださいませ。